カトリックの民間信仰における4大天使の一人で、セラフィム(熾天使)あるいはケルビム(智天使)とされることもある。
ウリエルは「神の光」あるいは「神の火」を意味する名で、旧約聖書続編の「ラテン語エズラ書」や外典の「エチオピア語エノク書」に実名で登場する。
「ラテン語エズラ書」では、預言者エズラに7日の断食を命じ、さらにエズラの祈りに応えて彼が見た幻の意味について解き明かして終末について教え、エルサレムに栄光が約束されていることを教えた。
『エチオピア語エノク書』ではノアに洪水を予言し、天上、地上、地下の世界を巡るエノクに、堕天使たちと彼らに与えられた刑罰、さらに空の星の数や名、位置運行について教えた。
ミルトンの『失楽園』では、神の王座近く接して常に命令を待ち、あるいは天国をくまなく見とおす神の目となり、あるいは地上に下って大地や海を駆け神の指示を伝える7人の天使の一人とされ、その姿は光彩を放つ黄金の冠を身につけ、背後に垂れた髪は翼をつけた両肩の上までふさふさと覆い被さり、ゆるやかに波打つように揺れ動き、天使のなかでもっとも鋭い目を持つ。サタンがケルビムに変身して地球に達したとき、一瞬正体を見せたのを見逃さなかった。
イギリスの魔術師エドワード・ケリーによれば、シューストーンに現れて、天使の言葉であるエノク語を教えたのもウリエルである。 他に具体的な名は挙げられていないものの『旧約聖書』の「創世記」第章第24節に語られる、アダムとイブが追放された後エデンの東を守ったケルビムや、「列王記下」第19章でアッシリアの軍勢18万5000人を一夜のうちに皆殺しにした天使もウリエルとされることがある。
ユダヤ教の伝承では雷や地震の天使、予言や恐怖、神秘の天使でもあり、カバラの知識を人間に伝えた、あるいは最後の審判のとき冥府の門を開いてすべての霊を審判席に座らせる役割を担っているとも言われる。
参考
『新共同訳聖書』(日本聖書協会)
ミルトン『失楽園』(岩波文庫)
『天使と悪魔の大事典』(学研ムー謎シリーズ)
デイヴィッド・コノリー『天使の博物誌』(三交社)