ダリネゴルスク事件

ダリネゴルスク事件(The Dalnegorsk UFO Crash)。1986年1月29日午後8時頃、謎の飛行物体が旧ソ連極東部の工業都市ダリネゴルスク郊外にあるイズヴェストコヴァヤ(Izvestkovaya)山(あるいは611高地)に墜落したとされる事件。人によっては「ソ連のロズウェル事件」と呼び、 また墜落した場所から「611高地事件(the Height 611 UFO incident)」と呼ばれることもある。
 目撃者によればこのとき、町の南東方向から赤っぽい球体が飛んできて街の一部をかすめるように北西に向けて上空を通過し、611高地上空で急に墜落した。物体は直径約3
メートルのほぼ完全な球形をしており、色はステンレスを燃やした時のような赤だった。物体は当初、秒速15メートルくらいで、高度700~800メートルを音もなく地面と平行に飛んでいたが、611高地に近づくと突然下降し始め、墜落した。
このときの模様については、物体が閃光とともに落下し見えなくなったという証言と、当初丘の上で上昇と下降を繰り返し、上昇するときは輝きが増したという証言とがある。音を聞いた者は一人だけで、他の目撃者は何も聞こえなかったという。墜落現場では山火事のような光が1時間ほど続いた。
 事件から2日後(3日後とも言われる)、「極東奇現象委員会」のヴァレリー・ドヴツィリニ率いる調査団が現場を訪れ、最初の調査を行った。
 調査隊は現地で、岩棚が高温にさらされた痕跡や、焼けた植物の残骸の他、金属球や網状の残骸などを回収した。現場の放射能は正常値内だったが、現場写真を後に現像してみると露光して何も写っていなかった。
 回収された物体はソ連国内の3つの学術センターと11の研究所で調査されたが、その結論は様々だった。ある研究所では、金属球はアルミニウム、マグネシウム、ニッケル、クロム、タングステン及びコバルトと鉄の合金とした。網のサンプルについてはカーボングラスに似ているが、太さ
17ミクロンの石英の糸が織り込まれているとの報告もあった。
 ダリネゴルスクでは2月8日午後8時30分にも、611高地で黄色っぽい光体2機が北から南方に飛来し、8日前の墜落現場に達すると4回旋回し、北へ飛び去るのが目撃されている。1987
年11月28日午後11時24分には、32機の飛行物体がどこからともなく現れ、何百人もの人々に目撃された。
 墜落した物体の正体については諸説ある。 
 ドヴツィルニによれば、物体が飛来したダリネゴルスク南西方向には中国の西昌衛星発射センターがあるが、事件当日衛星が打ち上げられた記録はない。ソ連国内でのロケット打ち上げもない。そこで彼は、当日611高地には機能不全になった異星人の偵察機が墜落したと結論した。
 ジャーナリストのV. プサロムチコフは、墜落したのは、自己破壊装置の付いたソ連製無人偵察機としている。また、1986年1月28日に爆発したアメリカのスペースシャトル、チャレンジャーの破片とする説もある。

【評価】
 目撃者も多く、残留物も発見されている事例であるが、墜落した物体の正体は未だに不明。あるいは正体は判明しているが公表されていない可能性もある。残留物の成分、構造はかなり奇妙なものではあるが、地球上のテクノロジーで作成不能とも言えないので、旧ソ連で密かに開発されていた無人飛行物体の可能性はあるだろう。当時のソ連における無人機開発状況については調査中。また『Fate』誌2013年3/4号によれば、事件後回収された物体の一部が売りに出されたとか、2000年には、日韓4人の探検隊が611高地を調査したとの情報もあるが、この点は今のところ未確認である。  ちなみにダリネゴルスクは、1897年にスイス人移民ユリウス・ブリンナーがこの場所で鉛と亜鉛の鉱脈を発見したことで鉱工業都市として発展した。炭鉱主となったユリウス・ブリンナーの孫は、アメリカの俳優ユル・ブリンナーである。

【参考】
『Fate』誌2013年3/4号
『今日のソ連邦』1989年11月1日号
http://english.pravda.ru/society/anomal/05-02-2010/112049-dalnegorsk_ufo_crash-0/

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