アカシック・レコード(Akashic Records)

宇宙創世以来のすべての存在について、あらゆる情報が蓄えられているという記録層のこと。サンスクリット語でアカーシャ(原物質)と呼ばれる媒体でできているためこう呼ばれる。日本語で「アカーシャ記録」あるいは「アカシアの記録」と訳されることもある。

 本来神智学系統の神秘思想の中で生まれたものであるが、仏教やユダヤ教、キリスト教などにその起源を求める説もある。ヘレナ・ペトロヴナ・ブラヴァツキー(1831~1891)は、同様の記録層を「ジャンの書」と呼び、イルカの研究やアイソレーション・タンクの発明でも有名なジョン・C・リリー(1915~2001)もそうした記憶層の存在を支持している。宇宙全体が1つの脳ともいうべき機能を持っており、そのうち記憶を司る部分がアカシック・レコードであるという説明がされることもある。

アカシック・レコードには、宇宙における過去・現在・未来のあらゆる存在やできごとのすべてが記録されているため、その情報にアクセスできれば、この世にわからないことはないということになり、また、霊界通信や予知などの現象もアカシック・レコードの存在により説明可能となる。実際に精神的に目覚めた人物は自由にこの記録層に接し、そこから過去や未来に関する必要な情報を得ることができるとされ、エドガー・ケイシー(1877~1945)やルドルフ・シュタイナー(1861~1925)などはそうした人物の例としてしばしば引用される。普通の人間も睡眠中この記憶層に接することがあり、その結果夢予知などの現象が起こると説明されることもある。また死の瞬間には自分のこれまでの一生が走馬灯のように脳裏をよぎるというのはよく言われる話だが、これもアカシック・レコードのうち自分の人生に関する部分を垣間見るためともいう。

アカシック・レコードに相当する記録層の存在が明確に示されたのは。ブラヴァツキーの『シークレット・ドクトリン』とされている。現在では、いわゆる「ニューエイジ」思想信奉者の間で広く知られた概念となっているが、もちろんそのような記録層の存在は証明されていない。ブラヴァツキーがどこからこのような着想を得たのか、正確には不明だが、イスラム教の聖典『コーラン』第85章第21節には、アッラーの意志、決定、未来の予定すべてが書き込まれた「ラウフ・マハフーズ」なる書板についての言及がある。この「ラウフ・マハフーズ」は第7天の上に保存されており、過去・現在・未来すべての運命、出来事が刻み込まれているという

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